高度生殖治療は、最も効率の良い手段として利用されていますが、皆が期待したとおり成功しているわけではありません。
これから治療を検討されているかた、現在治療継続中のかたも、少しでも不安や迷いがあるなら今一度しっかりと受けとめるべき現実があります。
体外受精・顕微授精の実状
日本産婦人科学会発表の最新データ2021年のデータ(2023年10月時点で最新)によると、年間に実施された体外受精・顕微授精といった「生殖補助技術」は49万8千件を超えましたが、その中で妊娠件数は約9万4千件、出産件数は約6万7千件でした。
割合としては、妊娠率は18.9%、出産率は13.6%ということになります。
通院して薬剤などで準備をしても胚移植まで至らないケース、移植をしたが妊娠しないケース、妊娠したが出産にたどり着けないケースなど、結果として8割以上が「授かることができなかった」ということになります。
つまり、ものすごい数の「妊娠できない不妊治療」が行なわれているということもいえます。
体外受精・顕微授精をお考えの方へアドバイス
治療に行き詰まり、漢方を選択されるお客さまの
切実なご相談から、授かるための本質にしっかりと向き合うことの大切さを感じます。
- ・そもそも体外受精を選択すべき状況かどうかをしっかりと見定めることが大切
- ・体外受精によって高確率で妊娠できるというものではなく、妊娠できるかどうかは体の状態次第で決まる
- ・妊娠は確率ではなく、その人の体が妊娠できる状態かどうかで結果が変わる
- ・妊娠率の低さは、つまり「体づくりの不足の割合」を意味する
- ・体外受精が必要なケースでも、「体づくり」は不可欠
- ・目指すは出産。妊娠を維持する「体づくり」への意識を早い時期から持つことが大切
成果がみられないまま治療を続けているかたは、
見る角度を少し変えてみることで必要な取り組みに気づかれるかもしれません。
人工授精からステップアップを検討される場合
まず、不妊治療のステップアップは、生殖医療技術レベル高度(精密)さのことであり、得点を重ねて合格するといった意味合いのものとは違います。
人工授精と体外受精の違いは「受精」の部分です。
人工授精では受精は自然現象であるため確認ができませんが、体外受精だと卵子の質や受精の状態が確認できます。効率よく採卵数を獲得できれば、「1周期で1回・1個」よりチャンスも増える可能性もでてきます。
ただし、忘れてはならないのは、子宮環境です。
子宮環境が着床に向かない状態のままだと、良好胚を移植しても妊娠には至らないのも現実です。
子宮内膜が薄い、経血がドロドロ、冷え性、貧血、経血過少など思い当たる方は、子宮環境を整えることが先決といえます。
何度かチャレンジしたが結果に結びつかなかった場合
同じ状態で採卵・移植を繰り返すのではなく、結果に結びつかない要因を確認して補強して臨めば結果が変わる可能性も出てきます。
「卵子」の問題(=育たない、質が低下、受精しないなど)なのか、「着床維持」の問題(=移植できるが着床しない、育たず初期に流産など)なのかによって、必要な対策をおすすめします。
特に、不妊治療期間が1年を越える方の場合は、排卵誘発剤や採卵、移植後などの薬の影響でホルモンバランスの乱れや生理の変化など体調へのデメリットが目立つ方もおられます。
治療回数を重ねることだけが妊娠につながるとはいえない、と感じられたらぜひご自身の「体づくり」に目を向けてみてください。
年齢的に体外受精からスタートされる場合
厳しいですが「年齢」という要件はどうしても避けられないリスクといえます。卵子の質が良くない場合や原因不明不妊の場合も「年齢」を理由に挙げられることも多くなります。漢方では、「生まれてからの年月」よりも、「身体年齢」に着目します。
AMHや日常の体力、体調などから、卵巣機能にかかわる腎精や新陳代謝などを補うことで「今の身体年齢での最大限の妊娠力」を発揮できるようサポートします。
漢方での体質改善は時間がかかると思われがちですが、1日でも早く開始しスピード重視で進めていくことも大切です。
急ぎたい時こそ、きちんと態勢を整えて臨まれることをおすすめいたします。
治療成果を高めるには
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質の良い卵を作ること
生殖力をつかさどる"腎"を補う漢方で卵巣を元気にし、ホルモン分泌や卵子の成熟を助けることにより、質の良い卵子とスムーズな排卵が期待できます。
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着床に適した子宮環境を整えること
骨盤内の瘀血(血の巡りが悪く滞った状態)を改善して、子宮内の血の巡りを整え、子宮内膜の質や厚さに働きかけることが期待できます。
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着床を維持すること
医学的な原因がないのに流産してしまう場合は、体質的な側面から見直し、自律神経のバランスを整え体力を補うことで、体質的な不足による流産を防ぐことが期待できます。